• X
スーパーマーケットファン > コラム > 元店長が解説「スーパーのうなぎ」選び方
  • スーパーの裏側

スーパーの元店長が教える、失敗しない「うなぎ」の選び方! 「中国産うなぎ」への本音は? 

食品スーパーに関する疑問や消費者が知らない裏側を、創業105年にあたる2017年に倒産した老舗スーパー「やまと」の元3代目社長で『こうして店は潰れた~地域土着スーパー「やまと」の教訓~』(商業界)の著者・小林久氏に解説してもらいます。今回のテーマは「スーパーで失敗しないうなぎの買い方」。

スーパーの元店長が教える、失敗しない「うなぎ」の選び方! 「中国産うなぎ」への本音は? の画像1
(写真AC)

目次

スーパーで失敗しない「うなぎ」の買い方
スーパーに並ぶ「中国産うなぎ」の安全性は? 
スーパーのうなぎ、3つの価格帯と特徴 
スーパーでうなぎを買う時のポイント

スーパーで失敗しない「うなぎ」の買い方

  暑い夏のスタミナ源といえば、やっぱり「うなぎ」。今年は「土用の丑の日」が、7月19日と31日の2回あり、ちょっとめずらしい年です。専門店はもちろん、スーパーやコンビニもこのチャンスを逃すまいと、予約獲得や売り場づくりに余念がありません。あの“香ばしい匂い”が漂うと、「今年もこの季節が来たか」と感じる方も多いのではないでしょうか。 
 
 とはいえ、今やうなぎは“高級食材”です。いざ買おうと思っても、「どれを選べばいいの?」「この価格って妥当なの?」と迷ったことはありませんか? 今回は、スーパーで失敗しないうなぎ選びのポイントを元スーパー社長の視点でご紹介します。 
 
 
 今、専門店で上物のうなぎを食べようとすれば、軽く5,000円を超えるようになり、気軽に「家族でうなぎを食べに行こう」という時代ではなくなりました。そんな中、全国に拡大中の「鰻の成瀬」や「宇奈とと」など、手頃な価格のうなぎチェーンが人気を集めています。 

 「専門店ほど高くない、スーパーほど安物ではない、しかも満足感あり!」。この絶妙なゾーンが、うなぎファンの心をつかんでいるのでしょう。 

爆増中チェーン【鰻の成瀬】は「まずい」? 

スーパーに並ぶ「中国産うなぎ」の安全性は? 

 ではなぜこんなにうなぎが高くなったのでしょうか? 

 最大の理由は、うなぎの稚魚「シラスウナギ」の減少です。1974年以降は採捕量は右肩下がり、ニホンウナギは今や「絶滅危惧種」に指定されています。稚魚の確保が難しいうえに、養殖のエサ代や人件費、輸送費もかさみ、価格は高騰の一途です。そんな中、比較的価格の安いスーパーのうなぎは「庶民の味方」といえるでしょう。 
 
 価格の安いうなぎは、ほぼ「輸入もの」です。消費者の中には「中国産うなぎ」の安全性に疑問を持つ人もいると思います。

 しかし、現在の中国産うなぎは、かつてのイメージとは大きく異なり、検査体制が年々厳格化され、残留農薬や水質の基準をクリアしたものだけが店頭に並ぶようになりました。 
 
 私自身、魚屋の家に生まれ、手伝いで「丑の日」に店先でうなぎを焼いた思い出があります。味もわからないのに「輸入ものなんか食べられるか!」と格好つけていましたが、大人になった今、一番のごちそうはスーパーで売っている「中国産のうなぎ」です(笑)。多少詳しいつもりの私でさえ、その味の区別はつきません。 

スーパーのうなぎ、3つの価格帯と特徴 

 スーパーで扱ううなぎは、おおよそ3つの価格帯に分けられますが、「価格=品質」とは限りません。 
 
①1,000円前後
中国産の「蒲焼き」一尾が中心の価格帯。国産うなぎなら、回転寿司で見る「穴子一本握り」程度の小サイズになります。どちらも味や食感は満足できるレベルですが、惣菜部の「うなぎ弁当」のほうがご飯もついて空腹が満たされるので、コスパが高いでしょう。 
 
②1,500~2,000円台
「長焼き」など中国産の大型や、小さめの国産うなぎ一尾が中心。「家族で分けて食べよう」というニーズに合う価格帯で、品質と価格のバランスがいい。スーパーでも売れ筋で、もし特売で1,280円以下になったら迷わず買いです。 
 
③2,500円以上
鹿児島産や浜名湖産といった産地ブランドの国産うなぎが中心。手焼きや活〆など、こだわりが詰まった特別な日にふさわしい一品です。 
 
 ちなみに私は普段、1,280円程度の中国産冷凍うなぎ(長焼き)を選びます。そして特別な日には1,980円の“店のイチ押し”商品を購入することもあります。 
 
 重要なのは「産地」だけでなく、「職人が手焼きしました」とか「独自のタレで2度焼きしました」など、価格に見合った価値があるかどうかです。うなぎ売り場を見れば、店側がどのうなぎを推しているかわかるものです。 

スーパーでうなぎを買う時のポイント

 それでは、あくまでも私の感覚で、スーパーでうなぎを買う時のポイントをご紹介します。 

①やはり「見た目」が大切! 
賞味期限が近い商品は、冷凍庫での長期保存による品質劣化のリスクがあります。できれば製造日から1年以内のものがおすすめです。期限が残っていても、パックの内側が白く曇っている商品(冷凍焼け)には要注意。冷凍焼けしたうなぎは、身がパサついて風味が落ちます。 
 
また、付属のタレで中身が見えにくいものがありますが、パックが透明で中身が確認できるものを選びましょう。そして、スーパーの照明の下であなたが「おいしそう!」と直感的に感じたら、それはおそらく“当たり”です。 
 
②調理方法でさらにおいしく! 
ここではすでにあなたもご存じの「タレを一度洗い直す」「オーブントースターで焼き直す」など「スーパーのうなぎを家でおいしく食べる調理法」は省略しますが、やはり調理方法で味が大きく変わることは事実です。そのまま“レンチン”して食べるより、専門店のような仕上がりに近づけるため、ぜひ手間を惜しまずおいしさを追求してください。 
 
③実は「土用の丑の日」“後”が狙い目 
うなぎを買うタイミングについて、実はあまり知られていない裏技があります。それは「土用の丑の日」の“後”が狙い目ということ。スーパーでは丑の日に向けて大量にうなぎを予約注文しますが、気温(冷夏)や物価(価格)の影響で売れ残ると、原価が高いうなぎを早く現金化するために「在庫処分」をします。それが始まるのが「お盆商戦」が終わる8月中旬以降です。値引きシールで“掘り出し物”が出ますので日々「要チェック」です。 
 
 
 今年の夏は「丑の日」にこだわらず、「納得の一品」という基準でうなぎを選んでみてはいかがでしょうか。スーパーの目線で言えば、「よく見て選ぶお客さんは、やっぱり“当たり”を買っていく」、そしてあなたも、「ちょっと知っているだけで得をする」、それが“うなぎ選び”の醍醐味です。 
 
 この夏、あなたの「うなぎを見る目」が開眼して“最高のごちそう”に出会えますように! 

  • X
  • ポストする
  • 小林久(元スーパーやまと社長)
  • 小林久(元スーパーやまと社長)

    1962年山梨県韮崎市生まれ、山梨県立韮崎高校、明治大学商学部卒。山梨県に最盛期16店舗、年商64億円を稼いでいた創業105年の老舗スーパー「やまと」の元3代目社長。先代からの赤字経営を引き継ぎ「破綻スーパー再生」を軸に短期間で業績を回復した。2014年頃から大手資本の進出により次第に経営が悪化、17年12月に倒産。自身も自己破産へ。自身の失敗から得た教訓を企業にアドバイスしている。著書『こうして店は潰れた~地域土着スーパー「やまと」の教訓~』(商業界)『続・こうして店は潰れた』(同文舘出版)。

    公式サイト

  • 関連記事

  • RELATED ARTICLES
  • アクセスランキング

  • ACCESS RANKING
2025.07.15.18:00更新
  • 新商品

  • NEW

生ビールが終日290円! 【フレッシュネスバーガー】ガーリックが効いた新作バーガーも登場

  • レシピ

  • RECIPE

プロが選ぶ【キッコーマン】「うちのごはん」シリーズおすすめ3つ! 夏野菜たっぷりアレンジレシピ

  • プロが解説

  • PROFESSIONAL

プロが選ぶ【キッコーマン】「うちのごはん」シリーズおすすめ3つ! 夏野菜たっぷりアレンジレシピ

PAGE TOP