• X
スーパーマーケットファン > コラム > 「お客さんにやめてほしい」行動5つ
  • スーパーの裏側

スーパー元店長が明かす「お客さんにやめてほしい」行動5つ! 業界用語「ワープ」とは?

食品スーパーに関する疑問や消費者が知らない裏側を、創業105年にあたる2017年に倒産した老舗スーパー「やまと」の元3代目社長で『こうして店は潰れた~地域土着スーパー「やまと」の教訓~』(商業界)の著者・小林久氏に解説してもらいます。今回のテーマは「お客さんにやめてほしいこと」。

スーパー元店長が明かす「お客さんにやめてほしい」行動5つ! 業界用語「ワープ」とは?の画像1
(写真ACより)

目次

本音では「それだけは勘弁して!」お客さんにやめてほしいこと
①商品を違う棚に戻す 
②レジでの“ちょっとしたこと” 
③店内を走り回るお子さん、無断駐車の車
④“恫喝”や“憂さ晴らし” のためのクレーム 
⑤「値引きシール」のスタッフにプレッシャーなど
スーパーはもっと明るく、笑顔で過ごせる空間になる 

本音では「それだけは勘弁して!」お客さんにやめてほしいこと

 あなたがよく行くスーパーで、「えっ、ちょっと待って!」と思わず目を疑うお客さんの行動を見かけたことはありませんか? 従業員はいつも笑顔ですが、本音では「それだけは勘弁して!」と願う瞬間があります。 
 
 今回は、そんなスーパーの内側からみた「お客さんにやめてほしいこと」を5つご紹介します。あなたも“無意識”にやってしまっているかもしれません。

 さあ、早速チェックしてみましょう! 

①商品を違う棚に戻す 

 スーパーの食品は「誰かの食卓」に並ぶ大切なもの。一度カゴに入れた冷凍食品や冷蔵品(肉や刺身)を“常温”の棚に戻す、果物やパンなどやわらかい商品を指で強く押す、こんな行為で商品の鮮度が一気に落ちてしまいます。 
 
 商品は、売れるまでは店の「資産」です。もし冷蔵品が温まってしまったり、商品が潰れてしまえば「廃棄」するしかなく、その結果、価格にも跳ね返ってきます。

 スーパーの担当者は、わが子をお嫁に出す気持ちで商品を売り場に出しています。その気持ちを汲んで、取り扱いは優しくお願いします。自身で商品をもとの場所に戻せないときは、近くのスタッフにお声がけください。 
 
 冷蔵品でなくても商品を違う場所へ戻すと(業界用語:迷子・ワープ)、在庫管理に影響が出たり、売れ筋の商品が隠れたりして、売り上げにも影響が出ることもあります。 
 
 その場に放置することでいえば、「買い物カゴ」や「カート」を丸ごと通路に置かれると、通路が塞がれてほかのお客さまやスタッフの作業の妨げになります。「コストコ」などでよく話題になることを考えると、ある種の“買い物ハイ”の状態になってしまうのかも知れませんが、気に留めてみてくださいね。 

②レジでの“ちょっとしたこと” 

 お金のやりとりをするレジは、緊張感のある場所です。買い過ぎて予算オーバー時の商品キャンセル、商品を間違えた際の交換(辛口のカレールーを甘口に)、計算違い、お釣りのミスは混雑時でも問題ありませんので、遠慮なくスタッフに伝えてください。

 またセルフレジで困った時は、自分の判断で無理やり清算を完了せず係員に申し出てください。 
 
 「対面レジ」で担当者が困るのは、レジの流れを止めてしまう行動です。たとえば、清算中に買い忘れた商品を探しに売り場へ戻る、会計後にポイントカードやお財布を探す、なじみの担当者とのおしゃべりもこれに含まれます。

 空いている時間ならいいのですが、混雑時には後ろに並ぶお客様の視線がどんどん曇っていきます、ぜひご協力をお願いします。 
 
 また、「お一人様一点限り」という購入制限を“あの手この手”で突破しようとする行為もやめてください。

 家族で別々のレジに並ぶ、時間差で何度も買う、「前は売ってくれた」「駐車場に主人がいる」、さらには「おなかに赤ちゃんがいる」と一歩も引かないなど(すべて実話)。今では「お一家族様一点限り」が主流になったのも、こんな理由からです。 

③店内を走り回るお子さん、無断駐車の車

 お子さんにとってスーパーは楽しい「テーマパーク」です。よく店内を走り回る姿を見かけますが、商品がぎっしり並び、カートが行き交う売り場は意外に危険がいっぱい。

 従業員、ましてやほかのお客さんは注意しづらいので、親御さんがしっかり管理をお願いします。 
 
 さらに、駐車場や駐輪場でのマナー違反も目立ちます。たとえば、「障がい者用スペース」に無断駐車する、買い物以外の長時間駐車、カートの放置など。

 

 多くのスーパーは、駐車場にも防犯カメラが設置されてチェックしていますので、みんなが気持ちよく利用できるよう、マナーを守ってくださいね。 
 

④“恫喝”や“憂さ晴らし” のためのクレーム 

 お客様からの建設的なご意見や要望は大歓迎です。クレームにも真摯に対応いたします。

 しかし、“恫喝”や“憂さ晴らし”ともいえる激しい口調で従業員に詰め寄ることはやめてください。また怒りが収まらず、従業員個人や店の評判を落とす情報をSNSで晒すことも同様です。 
 
 最近、「名札」にフルネームを書かなくなったのもそのためです。SNSを禁止する権利は誰にもありませんが、スーパーには正式にご意見を受ける部署がありますので、まずはその窓口か店舗に連絡してください。 
 
 「カスハラ防止」のルールはできましたが、それを現場で受け止める従業員もさまざまです。 そのことで店の“家族”ともいえる大切な仲間が、退職に追い込まれることは悲しいことです。

 「お客さん、物は言いようですよ」などと店が言うことはできませんので、ここはあえて、元スーパー社長の私が皆さんに“最低限の気遣い”を切にお願いしておきます。 
 

⑤「値引きシール」のスタッフにプレッシャーなど 

 その他、上記4つよりも些末なことではありますが、スーパーがお客さんに「やめてほしいな」と思っていることを挙げてみます。 
 
・「値引きシール」を貼るスタッフにプレッシャーをかける 

 値引きタイムは売り場が戦場と化します。気持ちはわかりますがお客様同士“譲り合いの精神”でお願いします。 
 
・「サービス(無料)」の限度を超えた利用 

 水物を入れるビニール袋・割り箸やスプーン・牛脂・氷・応募券・試供品や試食品などは最低限でお願いします。そのうえ買い物カゴやショッピングカート、トイレットペーパーまで持ち帰るのはもはや“通報案件”です。

 「これは無料(タダ)でしょ?」と店の備品やサービス品を無制限に持ち帰ることはやめてくださいね。 
 
・同じ売り場で長時間“品定め”をして動かない

 前のお客さんが品定めに時間が掛かって、全然売り場から離れない。仕方なく一回りして来たのにまだそこにいる(あるある)。時間は貴重です、サッと買って次のお客さんに譲ってくださいね。 
 
・撮影禁止の店内で撮影をすること 

 スーパーには店内情報や価格の漏えい防止のために、撮影を一切禁止する店と、逆にSNS効果を狙って許可している店とさまざまです。ルールに従えばいいですが、その際も従業員やほかのお客さんの顏が写るような写真や動画は避けてくださいね。ちなみにSNSでよく見かける「コストコ」は、店内“撮影禁止”です。 

スーパーはもっと明るく、笑顔で過ごせる空間になる

 スーパーは地域の暮らしを支える大切な場所です。

 いくら機械化が進んでも、そこでは人と人が深く関わり合っています。今回ご紹介した「やめてほしいこと」も、ほとんどは“無意識”の内に行っていることだと思います。 
 
 従業員とお客さんが少しずつ相手のことを気遣うことで、スーパーはもっと明るく、笑顔で過ごせる空間になるでしょう。

 あなたが次にスーパーへ行ったとき、この記事のことをふと思い出してもらえたらうれしいです。 

  • X
  • ポストする
  • 小林久(元スーパーやまと社長)
  • 小林久(元スーパーやまと社長)

    1962年山梨県韮崎市生まれ、山梨県立韮崎高校、明治大学商学部卒。山梨県に最盛期16店舗、年商64億円を稼いでいた創業105年の老舗スーパー「やまと」の元3代目社長。先代からの赤字経営を引き継ぎ「破綻スーパー再生」を軸に短期間で業績を回復した。2014年頃から大手資本の進出により次第に経営が悪化、17年12月に倒産。自身も自己破産へ。自身の失敗から得た教訓を企業にアドバイスしている。著書『こうして店は潰れた~地域土着スーパー「やまと」の教訓~』(商業界)『続・こうして店は潰れた』(同文舘出版)。

    公式サイト

  • 関連記事

  • RELATED ARTICLES
  • アクセスランキング

  • ACCESS RANKING
2025.08.22.18:00更新
  • 新商品

  • NEW

【業務スーパー店長が教える】入荷未定の人気お菓子! この夏「迷わず買ってほしい」終売品とは?

  • レシピ

  • RECIPE

「絶対作って!」すき焼きのタレ+しそとチーズ挟んだ【厚揚げ】、食べると震えるおいしさ!

  • プロが解説

  • PROFESSIONAL

スーパー元店長が明かす「お客さんにやめてほしい」行動5つ! 業界用語「ワープ」とは?

PAGE TOP