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コラム
- 老いゆく親とどう向き合う
- 2025/09/07 17:00
老人ホームで依頼された「お手伝い」とは?ボランティアが「特養の実態が少しわかった」と話すワケ
“「ヨロヨロ」と生き、「ドタリ」と倒れ、誰かの世話になって生き続ける” ――『百まで生きる覚悟』春日キスヨ(光文社)そんな「ヨロヨロ・ドタリ」期を迎えた老親と、家族はどう向き合っていくのか考えるシリーズ。
(写真ACより) 目次
・特別養護老人ホームで依頼された「お手伝い」とは?
・「絶対毎日掃除していない」確信した理由
・介護が必要になってもこの施設には入りたくない
特別養護老人ホームで依頼された「お手伝い」とは?
森香苗さん(仮名・66)はパートを定年退職したが、年金は雀の涙。今話題のスキマバイトを利用して、孫たちとの食事代に充てたいと考えた。
しかし、いきなりのスキマバイトはハードルが高い。そこで、まずは介護施設での有償ボランティアを試してみることにした。
(前回はこちら:「スキマバイトがいいんじゃないか?」定年退職シニアが挑戦した“仕事”)
初めて応募したのは、特別養護老人ホームだ。
「駅から徒歩13分と書いてありましたが、その日はあいにく台風のような雨風で、ナビを頼りに歩いて20分近くかかりました。着いたときにはずぶ濡れで、すでにヘトヘトでした」
施設の仕事内容は、「その日職員の手が回っていないことをやってください。身体介護はないので安心です」という曖昧なものだった。森さんが指示されたのは、施設内の清掃だ。
「2フロア分、4人部屋の20室くらいの居室と廊下を、業務用のフローリングワイパーで掃除してほしいと言われました。自宅だとフローリングワイパーで掃除するのは簡単なので、『これなら楽勝』と喜んだのですが、想像以上の重労働でした」
「絶対毎日掃除していない」確信した理由
自宅と施設とでは広さが違う。業務用のフローリングワイパーも幅広で扱いづらい。そして何より、居室が意外なほど汚れていたのだという。
「食堂は別なので、入居者が居室で飲食することはないはずなのですが、床やベッド下に食べこぼしのようなザラザラしたものが大量に落ちているんです。入居している方が隠れて何か食べているのだろうか? それに、こんなに大量に落ちているということは、この施設は絶対毎日掃除していないだろうと確信しました。していたとしても、見えているところだけで、ベッドの下まではやっていないのでしょう。相当雑な掃除です。人手が足りていないという証拠かもしれませんが」
もはや、フローリングワイパーで取り切れる量ではない。ほうきとちりとりを貸してもらって、何とか2フロアを終了した。
次は、手すりやトイレの消毒だ。3時間はあっという間だったが、やり慣れない動作で、体全体がきしむように痛み、グッタリ疲れた。
「知らない人たちばかりで、声をかけてくれる人もいない。職員は忙しいのか、あいさつどころか目も合わせてくれません。居場所がなくて、気疲れしました。水分だけは摂るようにしていましたが、どこかでちょっと一休みすることもできません」
介護が必要になってもこの施設には入りたくない
森さんより明らかに年上の職員もいた。
「70代だと思います。小柄な女性が、コルセットのようなものをつけてわき目もふらず作業していました。体がそれほどつらくても働くしかないのかなと胸が痛みました。職員も少なかったし、特養の実態が少しわかった気がしました」
殺伐とした空気を感じたのは、職員の様子だけではない。入居者も重度の人が多く、居室で寝ているか、食堂にいる人でも車いすに黙って座っているだけ。談笑している人たちの姿はなかった。
それが森さんの疲れを倍増させたのかはわからない。帰るとき雨はやんでいたが、疲労困憊してフラフラしながらなんとか駅までたどり着いた。
「たかが掃除で、こんなに疲れるとは思いませんでした。3時間でこれだから、身体介護をして、夜勤する介護職員がどれだけ重労働か。掃除が行き届かないのも無理はないと思いました。そのせいか職員の雰囲気もギスギスしていたし、私が介護が必要になっても、この施設には入りたくないですね」
これに懲りた森さんは、「もう特養に応募するのはやめよう」と決心した。
――続きは9月21日公開です。
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