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コラム
- 老いゆく親とどう向き合う
- 2025/07/27 17:00
「あの事故さえなければ」横断歩道で車に巻き込まれた父、その後の姿
“「ヨロヨロ」と生き、「ドタリ」と倒れ、誰かの世話になって生き続ける” ――『百まで生きる覚悟』春日キスヨ(光文社)。
そんな「ヨロヨロ・ドタリ」期を迎えた老親と、家族はどう向き合っていくのか考えるシリーズ。
(写真ACより) 目次
・慣れない自転車に乗り、事故で亡くなった父親
・交通事故の死者、高齢者の割合は56.8%
・「あの事故がなければ」左折車に巻き込まれた父親慣れない自転車に乗って事故に遭う高齢者
90歳代で車を運転していることを医師にとがめられた父親が、自転車で事故に遭い(一種の自損事故だったとも言える)亡くなってしまったという話を紹介した(▶『警察です』高齢父がとうとう運転事故? ドライブレコーダーに映った予想外の姿)。
娘の菅原智香子さん(仮名・62)は「父が事故を起こして、人を傷つけたり、死なせたりしたのでなくてまだよかった」と言う。その気持ちがよくわかるという子世代は少なくないだろう。
それでも、慣れない自転車に乗って事故に遭った高齢の父親を思うと、事故を防ぐことはできなかったのかとも思う。
高齢ドライバーが交通事故を起こしたというニュースは多く報道されるが、高齢者が被害者となる交通事故もまた多いということは、もっと注目されてよい。
交通事故の死者、高齢者の割合は56.8%
警察庁交通局が発表した2024年の交通事故発生状況によると、交通事故の死者全体のうち高齢者が占める割合は増加傾向にある。
高齢者人口自体が増加していることの影響も大きいとはいえ、昨年度の65歳以上の死者は1,513人。過去最高だった21年の57.7%に次ぐ56.8%となっている。
ちなみに、75歳以上の高齢運転者による死亡事故は410件。近年増加傾向にあり、免許保有者当たりでは75歳未満の約2.0倍となっている。
▶「90代の父が運転を続ける」やめさせたいけど“見て見ぬふり”していた
65歳以上の状況別死者数の内訳を見ると、「歩行中」が650人(全年齢の69.4%)、「自転車乗用中」が225人(同69.4%)と、自動車乗車中や二輪車乗車中に比べて、高齢者が歩行中や自転車乗用中に死亡する事故が多い。
「あの事故がなければ」左折車に巻き込まれた父親
広松真紀子さん(仮名・57)の父親は、青になった横断歩道を渡ろうとしたときに、左折してきた車に巻き込まれた。
加害者は中年男性。事故処理もちゃんとやってくれて、保険も下りたし、謝罪も誠実だったと思っている。父親は大きなケガは負わなかったが、1年ほどは病院通いをした。
「事故としてはそれで終了ということになります。それ自体は仕方ないと納得はしています。でも、高齢者が一度体のどこかを痛めたら、完全に元通りになるということはありません。父も、もうこれ以上整形外科に行っても改善はしないと諦めて、病院通いもやめてしまいましたが、元のように歩くことはできなくなりました。痛みも消えていません。今は介護が必要なほどではありませんが、いずれは歩けなくなってしまうのではないかと不安です」
歳のせい、と言われば否定はできない。それでも、「あの事故がなければ」と思ってしまう。運転手がもっとちゃんと確認してくれていれば……。時間を戻してほしいと思うのだ。
「加害者はもう父のことなど完全に忘れて普通に暮らしているんでしょう。それがやりきれない」
西山恵美子さん(仮名・55)の父親(83)も、交通事故に遭って以来、生活が一変した。自転車に乗っていた父親は、横から出てきた前方不注意の車に跳ね飛ばされた。一命をとりとめたものの……
――後編は8月10日公開です。
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