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- 2025/04/11 15:00
「日本版コストコ」ロピアは見事! スーパーの元店長が明かす、【コストコ】再販店の意外な事実
(写真:写真ACより) 食品スーパーに関する疑問や消費者が知らない裏側を、創業105年にあたる2017年に倒産した老舗スーパー「やまと」の元3代目社長で『こうして店は潰れた~地域土着スーパー「やまと」の教訓~』(商業界)の著者・小林久氏に解説してもらいます。今回のテーマは「コストコ再販店の今後はどうなる?」。
目次
・山梨にコストコがオープン
・コストコ再販店にはセレクトショップとしてのセンスが必要
・コストコ再販店にまつわる3つの疑問
・コストコ再販店、今後の課題は?
・「日本版コストコ」ロピアの経営手腕は見事山梨にコストコがオープン
メディアやSNSで話題の会員制スーパー「コストコ」。私の住む山梨県にも今週(4月11日)最新店舗がオープンし、県内外から訪れたコストコファンの車で周辺道路が大渋滞する盛況ぶりです。
現在、コストコは日本国内に37店舗を展開中。その魅力は、エンタメ要素が強い巨大な売り場とアメリカサイズの独自ブランド、そして何より低価格な商品にあります。休日には家族連れでにぎわい、近くに店舗がないファンは車で1~2時間かけて最寄りのコストコへ買い出しに行くほどです。
今後も出店が計画されていますが、地域商業や一律「時給1,500円」という労働環境が与える地元企業の雇用面への影響が懸念されており、全国展開にはまだ時間がかかりそうです。
そのため、「コストコに行きたいけど行けない」という潜在的なニーズが全国に存在しています。そこで登場したのが、全国で300店舗以上あり、さらに増加が見込まれる「コストコ再販店」です。コストコ再販店にはセレクトショップとしてのセンスが必要
「コストコ再販店」とは、店主がコストコのリアル店舗で商品を買い(仕入れ)、そのまま、または小分けして販売(転売)する店舗のことです。コストコに行けないお客さんの代わりに人気商品を仕入れて売る、いわば「買い物代行業」ともいえる業態ですね。
当然、商売なので、再販店の価格はリアル店舗より2割ほど高くなります。しかし、お客さんはコストコの年会費(2025年5月から、税込み5,280円)を払う必要がなく、憧れの商品を欲しい分だけ購入できるメリットがあります。
「お買い得感」と「コストコのお試し体験」を演出することが再販店のビジネスモデルであり、どんな商品をお客さんが好むかを見極めて仕入れるセレクトショップとしてのセンスが成功のカギとなります。
コストコ再販店にまつわる3つの疑問
しかし、①「コストコの商品を勝手に転売していいの?」②「もし商品に何かあったら責任はどこにあるの?」③「再販店ばかり増えて大丈夫?」など、疑問に思ったことはありませんか?
①コストコの正式名称は「コストコホールセールコーポレーション(Costco Wholesale Corporation)」といい、「卸売業(問屋)」に分類されています。
そこで会員制にすることで、メンバーに日用品から食品、電化製品まで、さまざまな商品を低価格で卸しているという形態をとっています。したがって商品を買った人がそれを誰かに「転売」することは違法ではなく、コストコ側もそれを容認しています。ちょっと意外ですよね?
②万が一、商品に問題が発生した場合は、もともとコストコで買ったものであっても、最終販売者である再販店に責任が生じます。そのため、再販店で食品を販売するには保健所の営業許可、小分けや再加工をする作業場の設置、食品衛生責任者の配置が必要です。
加えて、コストコから再販店へ商品を運ぶためには運搬車(できれば冷蔵車)が必要です。これらの基準をどれだけの再販店が満たしているかは不明ですが、商品管理が今後、再販店にとって最大の課題となることは確かです。
③コストコ再販店は「新規出店」「既存商店でのフェア販売」「一般的なスーパーでの本格的展開」などのパターンに分かれます。コストコの商品を売ることで集客効果が期待できるので増加しているのですが、最悪なのは、そのコストコのリアル店舗が再販店の近くに出店してしまうケースです。
私の住む山梨でも、「コストコフェア」を頻繁に開催して、集客の目玉にしていたスーパーがありました。しかし今では本物が近くに開店し、逆に売り上げを奪われる「泣くに泣けない」状況さえ生まれています。小規模の再販店も同様で、コストコの実店舗ができてしまえば「再販店」の存在価値は一気に薄れてしまいます。
コストコ再販店、今後の課題は?
比較的参入しやすい「コストコ再販店」ですが、今はまだ珍しさもあり、メディアも頻繁に取り上げています。しかし、今後は「再販店同士の競合」「人気商品を確保できるのか」、そしてなにより「お客さんは必ず飽きて『コストコ公式店』へ向かう」という問題を避けられません。
本国アメリカでは600以上のコストコがあるため、日本型のコストコ再販店は存在しません。これはあくまでも私の想像ですが、もしかするとコストコ(ジャパン)は、こんなことを考えているかもしれませんよ。
「再販店は、一般会員と同じ価格で商品を大量に仕入れ、自分たちで小分けにして商品のPRと普及に貢献してくれる。しかもコストコ側は値引きの必要がなく、ノーリスクで売り上げと利益が確保できる。コストコの全国展開が完了するまでは再販店が各地に広がることで自社の知名度もアップし、まさに一石二鳥。将来的には、コストコ直営で規模の小さいセレクトショップを展開するのもアリかも……」 ――あくまでも私の邪推です(笑)。「日本版コストコ」ロピアの経営手腕は見事
ロピア(写真:スーパーマーケットファン) 現在、急成長中のスーパー「ロピア」の強みは、エンタメ感満載の売り場で大量陳列される低価格商品や、一般のスーパーにはないジャンボパック、SNS映えするオリジナル惣菜やデザートにあります。
これらは十分コストコを意識した商品戦略であり、ロピアが「日本版コストコ」といわれるゆえんでもあります。そして、すでにコストコ空白地をロピアがカバーする図式が全国にも広がっています。コストコの「黒船襲来」をチャンスととらえた経営手法は見事です。
ロピアの成長も、コストコの影響を受けた一例で、日本向けにカスタマイズした商品戦略は、再販店とは違う形で“コストコ的”な需要を取り込んでいます。
リアル店舗の出店や競争激化の影響で、すでに閉店したコストコ再販店もあります。再販店がただの「転売屋」で終わるのか、それとも地域に根差した便利な存在として生き残るか?
今後もコストコのないエリアでは引き続き一定の需要が見込まれ、当面、再販店の役割は続くことでしょう。「地域密着型のセレクトショップ」として根付くには、人気商品のトレンドを素早くつかみ、本家にはない小回りの利いた品ぞろえ(小分けのセンス)や独自のサービス(予約販売や配達)でお客さんを飽きさせない努力を続けることだと、私は考えています。
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