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コラム
- 老いゆく親とどう向き合う
- 2025/04/27 15:00
親の家の片付けで直面した「売るに売れない状態」、死んだあとまで考えられなかった
(写真ACより) “「ヨロヨロ」と生き、「ドタリ」と倒れ、誰かの世話になって生き続ける” ――『百まで生きる覚悟』春日キスヨ(光文社)
そんな「ヨロヨロ・ドタリ」期を迎えた老親と、家族はどう向き合っていくのか考えるシリーズ。
目次
・実家を処分する大仕事
・納戸や蔵に大量のモノ……祖父母の荷物や贈答品
・親の家は「売るに売れない状態」のワケ実家を処分する大仕事
「親の家の片付け」が話題になって久しい。今の子世代ならではの課題だろう。
親世代の多くは、地元でその親と同居していたから、親の荷物をそのまま引き継いで暮らしてきた。実家を離れて暮らした親世代は、地元に残った兄弟が家を継いでいたので、これまた親の家の片付けをする必要がなかった、というわけだ。
かたや現在、多くの子世代は実家で親と同居してこなかった。そのため、親が亡くなると実家は空き家になり、荷物を片づけて実家を処分するのが大仕事としてのしかかってくることになる。
納戸や蔵に大量のモノ……祖父母の荷物や贈答品
首都圏に住む佐原美佳さん(仮名・60)は、親の家の片付けに2度直面した。いや、まだ進行形だ。1回目は、親を北陸地方から呼び寄せたとき。2回目は、呼び寄せた両親がなくなったときだ。
「こちらに親を呼び寄せたとき、実家はいつでも帰れるようにとそのままにしてきたので、すべての荷物を片付ける必要もなく気分的には楽でした。それでも、田舎の家なので納戸や蔵に大量のモノがあったため、この機会にある程度は片付けておいたほうがいいだろうと、数十年前に亡くなった私の祖父母の荷物や、田舎の付き合いならではの大量の贈答品、私が学生時代に使っていたものなどを片付けることにしました。
祖父母が亡くなったとき、親は祖父母の部屋をそのままにしていたんです。思い出のあるものばかりで、捨てるに忍びなかったのでしょう。それらを私はちゅうちょなく捨てていきました」
親の気持ちを考えたり、感傷に浸ったりするヒマはなかった。古物商や古本屋に引き取ってもらったものもあるが、目の前で思い入れのあるものたちを捨てられた親の悲痛な表情は忘れられないという。
「不本意にも、先祖代々の土地を捨てて都会に移り住む罪悪感や寂しさでいっぱいだった親を鞭打つようなことをしてしまったと、今も胸が痛みます」
呼び寄せてから10年ほど後に母親が施設に入ると、もう実家を維持する意味がなくなったと考えたのか、父親は実家を売ることにした。親戚の手を借りて、何とか買い手が見つかると、家や蔵に入っている荷物はほとんど廃棄することになった。
「このとき私は母の介護や仕事で忙しく、すべて父に任せてしまいました。そのときはまだ元気だったとはいえ、70代の父が一人でよくやったと思います。私としても、本当は残しておきたかった思い出のあるものもあったのですが、すべて捨てられてしまいました。考えても戻ってくるわけではないので、もう考えないようにしています」
親の家は「売るに売れない状態」のワケ
その後母親が亡くなり、父親も先ごろ亡くなった。呼び寄せて約20年。こちらの親の家も、モノが相応に増えていた。
「両親が住んでいた家がまた空き家になってしまいました。二世帯住宅にしていたので、家の一部や庭がつながっています。だから、親の家だけ解体して更地にするのもそう簡単ではありません。20年前、両親が死んだあとのことまでは考えられませんでしたが、20年なんてあっという間ですね。売るに売れない状態で、どうしたらいいのか……」
ともかく、両親のものは少しずつでも片づけたほうがいいと、父親の三回忌が終わると、佐原さんはようやく重い腰を上げた。
――続きは5月4日です。
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