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- 2025/07/28 12:00
【イトーヨーカドー】売上高が昨年比アップ! 食品売り場が1年で大きく変わったワケは?
昨年に閉店ラッシュで話題となったイトーヨーカドー。実は、このところ売上高が好調で、既存店の月次売上高は25年度に入り、3月から4カ月連続で前年比を上回っています。いったいなにが変わったのか? 食品売場を取材してきました!
イトーヨカドー木場店(写真:スーパーマーケットファン) 目次
・【イトーヨーカドー】営業黒字53億円で好調
・【イトーヨーカドー】食品売場、好調の理由を探ってみた!
・ポイント①惣菜売り場が変わった!
・ポイント②プライベートブランドが変わった!
・ポイント③鮮魚売り場が変わった!
・編集部の「気になる!」商品
・【イトーヨーカドー】「良質だけど割高」イメージを刷新【イトーヨーカドー】営業黒字53億円で好調
昨年、閉店ラッシュで話題を集めたイトーヨーカドー。最盛期の2016年2月末には182店舗ありましたが、北海道・東北・信越地方から撤退、大幅に店舗数を減らしたことで、現在は関東圏を中心に92店舗となっています。
2025年2月期第3四半期(2024年3月~5月)の決算では、営業赤字6億6200万円を計上するなど、スーパーストア事業は赤字が続いていましたが、25年からは既存店の月次売上高が前年比で増加に転じ、2026年度2月期第1四半期(2025年3月~5月)の決算では、営業黒字53億7,500万円を計上しています。前年まで月次でもマイナスが続いていたところ、いよいよ風向きが変わってきたようです。
親会社であるセブン&アイ・ホールディングスは、24年10月にイトーヨーカ堂などスーパーストア事業を統括する中間持ち株会社「ヨーク・ホールディングス」を設立。スーパーストア事業としては、イトーヨーカドー、ヨークベニマル、ヨークマート、ヨークフーズなどで約450店舗(2025年7月末時点)を擁します。
【イトーヨーカドー】食品売場、好調の理由を探ってみた!
ネガティブなニュースが続いていた昨年までと打って変わって、好調ムードのヨーカドー。利用している筆者も、最近は買い物が楽しくなったと感じています。
では、この1年でいったい何が変わったのか? 中でも気になる食品売場について、ヨーカドーの担当者の方々から実際にお話を聞いてきました。
ポイント①惣菜売り場が変わった!
惣菜売り場(写真:スーパーマーケットファン) スーパーの花形部門といえる「惣菜売り場」。ヨーカドーでは25年3月から5月までの惣菜売上高が前年比で105%(既存店)と好調です。
実際に土曜日に売り場を訪れると、昼前には売り切れているお弁当があり、人気の高さに驚きます。
「銀鮭塩焼きのり弁」538円は、精米、ブレンド、炊飯にこだわった老舗米屋「八代目儀兵衛」監修の白米を使っていることで、高い支持を集めているんだそう。
この八代目儀兵衛監修シリーズは24年5月から始まり、丸1年を迎えます。
八代目儀兵衛監修の白米を販売(写真:スーパーマーケットファン) 惣菜のオリジナル商品数がアップ
24年は、惣菜作りにおいてヨーカドーで大きな転機がありました。自社工場「ピースデリ」での惣菜製造が始まったんです。
これにより、例えば「ロースカツ」などは「ピースデリ」で下準備がされた状態で納品され、店内では揚げるだけで提供できるようになり、調理場での工数が大幅カットに。
その分、手間がかかり店内でイチから調理する「自家製だし巻き玉子」などのメニューを増やせるようになり、惣菜のオリジナル商品数もアップしたんです。
「ピースデリ」で製造したものは、黄色いロゴのシールが貼ってあります。現在、惣菜における「ピースデリ」商品は全体の18%ですが「25年度中に30%にする」ことが目標だそう。
黄色いロゴのシールがピースデリの印(写真:スーパーマーケットファン) 店内調理の幅が広がった。だし巻き玉子もその一例(写真:スーパーマーケットファン) ピースデリで人気の惣菜は「おばんざい」シリーズ。こだわりのだしを使った肉じゃがやおひたしなどが、ひとり暮らしサイズの少量からそろっています。
少量からそろうおばんざい(写真:スーパーマーケットファン) ポイント②プライベートブランドが変わった!
(写真:スーパーマーケットファン) 近頃、ヨーカドーの売り場で目に付くのが、「セブン・ザ・プライス」。サプライチェーンの見直しや商品をシンプルにすることで、コスト削減を実現しておりシンプルなパッケージと手頃な価格が特徴のPBです。
この「セブン・ザ・プライス」、24年度の売上は前年比のなんと2倍! 人気の理由はずばり「低価格路線」。
実は21年7月にヨーカドーオリジナルで誕生したPBで、当初は11アイテムでスタート。セブンプレミアムの影に隠れた存在でしたが、25年4月時点で、242アイテムまで拡大しており、これが大好評!
「セブン・ザ・プライス」が加わったことで、松竹梅でいうと「松」にあたるセブンプレミアムゴールド、「竹」のセブンプレミアム、そして「梅」にセブンザ・プライスがあてはまり、3つの価格帯でさまざまな商品を選べます。
上段がセブンプレミアム、下段がセブンザ・プライス。そうめん、うどんで価格差44円(写真:スーパーマーケットファン) 乾麺売り場を見ると、セブンプレミアムの下段にセブン・ザ・プライスが展開されています。そうめん、うどんで比較するとセブンザ・プライスは内容量が50g多いのに、価格は44円も安い!
チルドコーナーでは、大人気のセブンプレミアムゴールド「金のハンバーグ」シリーズの隣でセブンプレミアム、セブン・ザ・プライスのハンバーグが並んでいます。
セブンプレミアム ゴールド、セブンプレミアム、セブンザ・プライスが並ぶチルドコーナー(写真:スーパーマーケットファン) セブン・ザ・プライスの「直火焼ハンバーグ」321円(写真:スーパーマーケットファン) セブン・ザ・プライスの「直火焼ハンバーグ」のお手頃感、ボリューム感が際立って見えますね。イトーヨーカドーの低価格帯を担うブランドとしてこれからもアイテム数を強化していくそう。
オリジナル冷凍食品の売れ行きが好調!
ヨーカドーオリジナルのブランド「イーズアップ」(写真:スーパーマーケットファン) 前述したセブン&アイのPBのほか、ヨーカドーオリジナルのPBもあるんです。冷凍食品「イーズアップ」はそのひとつ。
韓国料理店やイタリア料理店などの有名店が監修したメニューや、同グループのデニーズで人気の商品などがレンチンだけで楽しめる満足度の高いシリーズです。
ほとんど宣伝されていないPBにもかかわらず、リピーターが多く売上も好調で、新作も常時登場しているんだそう。
ヨーカドーオリジナルの冷凍食品「シェフズレシピ」の売り場(写真:スーパーマーケットファン) もうひとつ、「シェフズレシピ」もヨーカドーオリジナルの簡便調理食品シリーズ。冷蔵庫で解凍した後、フライパンで火を通すだけで本格的な料理が完成する調理キットや、具材たっぷりの冷凍「炊き込みご飯のもと」、プルコギなどの味付け肉を展開しています。
こちらは売れ行きが好調で、前年比はなんと2倍! 特に冷凍アイテムは賞味期限が約1年以上あるので、複数まとめ買いしていく方もいるんだそう。新商品も随時登場しています。
ポイント③鮮魚売り場
ひときわ人が集まっていた鮮魚売り場(写真:スーパーマーケットファン) 取材に訪れた土曜の午前中、店内でひときわ賑わっていたのが鮮魚売り場。月に一度の「豊洲市場直送」の鮮魚が並ぶ日でした。
売り場を覗くと、ラインアップの豊富さにビックリ! 同様のイベントを行うスーパーも数多いですが、ヨーカドー木場店は豊洲市場と目と鼻の先とあってか、新鮮さも品揃えも突出しています。
丸魚も豊富に取り扱う(写真:スーパーマーケットファン) 豊洲市場直送のイベントは、「ワクワクする体験を提供したい」という思いから25年2月から始まり、現在は10店舗で行っているそう。
この日は、生きたオオズワイガニが爪を動かしていたり、ドジョウもうねうねと箱の中で動いていて、子どもが楽しそうに覗き込んでいる姿も見られます。
カニが動いていました(写真:スーパーマーケットファン) どじょうも動いてびっくり(写真:スーパーマーケットファン) ヨーカドーを日常的に利用している筆者ですが、今回初めて目にした商品が「お魚屋さんのお寿司」シリーズです。
24年11月末から始まった店舗限定のシリーズで、鮮魚部が調理した寿司や丼を扱っているそう。生本マグロの赤身と中トロ、大トロが入って9貫で1382円というお値ごろ価格です。
10店舗で展開(写真:スーパーマーケットファン) 編集部の「気になる!」商品
編集部員が売り場で見つけた「気になる!」商品も紹介しています。
「ポッポのフライドポテト」も惣菜売り場で販売中(写真:スーパーマーケットファン) スーパーマーケットファンですでに紹介していますが、「ポッポのフライドポテト」が約1カ月前から惣菜売り場に登場中!
近隣でお祭りがあるときは売れ行きがすごいんだとか。ヨーカドー全店で通常販売しているそうですよ。
陸上で養殖したサーモンは、近年注目されている商品(写真:スーパーマーケットファン) 近年、環境問題の方面で話題を集めている「陸上養殖サーモン」。輸入ではなく日本で、しかも陸上で育てたサーモンがいくつかのスーパーで販売されるようになりました。
そのひとつが、ヨーカドーが取り扱う熊本発「桃太郎サーモン」。店舗限定のため、今回始めて実物を目にできました。26年中に全店での販売を目指して動いているそう。今後、注目です。
【イトーヨーカドー】「良質だけど割高」イメージを刷新
今回、売上高が好調の理由を探る中で、惣菜のテコ入れ、PBの拡充がこの1年で行われ、さらにワクワクするイベントも登場していたことがわかりました。
ヨーカドーといえば、「商品は良質だけど割高感がある」といった声もありますが、セブン・ザ・プライスの強化によって、そのイメージも刷新されそうです。
ここ数年、ヨーカドーの食品売り場に足を運んでいないという人こそ、現在の姿の驚くのでは? これからの動向にも注目ですね。
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