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【ロピア】公取委立ち入り調査の波紋――スーパー業界では「当たり前のこと」なのに、なぜ対象に?

人気スーパー「ロピア」が独占禁止法違反(優越的地位の乱用)の疑いで、公正取引委員会の立ち入り調査を受けていたことが報じられた。スーパー業界で波紋を広げている理由について解説する。

【ロピア】公取委立ち入り調査の波紋ーースーパー業界の「グレーゾーン」廃止で商品値上げ?の画像1
ロピアの入り口(写真:スーパーマーケットファン)

目次

ロピア、独占禁止法違反で立ち入り調査で波紋
ネット上では「うちのスーパーでは普通」との声続出
スーパーの元店長「違法であることは100%承知しているはず」
スーパーが品出しや発注作業を「丸投げ」することも普通
5月には沖縄のフランチャイズ契約を1年弱で終了

ロピア、独占禁止法違反で立ち入り調査で波紋

 スーパーや外食事業を展開するOICグループ傘下で、近年急拡大しているスーパー「食生活♥♥ロピア」(読み:しょくせいかつラブラブロピア)。

 神奈川県を地盤とするスーパーで、関東のみならず関西、北海道など全国的に猛スピードで出店を続け、テレビ番組でも特集が組まれることの多い話題の店だ。5月は北陸地方初出店を含む4店舗をオープン、6月はイトーヨーカドー尾張旭店とイトーヨーカドー花巻店の跡地にそれぞれ20日と27日に開店する。

 新規店舗の出店をめぐって、公正取引委員会は人手の確保を納入業者に負わせていたとみて、取り引き上の優位な立場を使って不当な要求をすることを禁じた「優越的地位の乱用」にあたる可能性があるとして、6月16日に立ち入り検査を行ったという。

 「毎日新聞」6月16日配信の記事では、「関係者によると、ロピアは遅くとも2022年以降、新規店舗の開店時や既存店舗の改装時に取引先の従業員に対し、商品の陳列や補充などの作業を無償でさせた疑いがある」と報じ、「取引先は直接、間接を合わせて約1100社とされる」という。

ネット上で「うちのスーパーでは普通」「当たり前の業務」との声続出

 このニュースがヤフートピックスで報じられると、コメント欄にはスーパー業界関係者や納入業者を称するアカウントからの声があふれ返った。どれも「業界ではよくあること」だとするコメントだ。

「ここに限らず地方の小さなスーパー等も同様に、問屋やメーカーに対しては陳列応援は暗黙の了解になっていました。ウチにオタクの商品並べてあげるんだから当然ですよね、という感じです」(以下、すべて原文ママ)

「今でもあるとこにはありますよ。 というかうちのスーパーは普通にやらせてます」

「ロピアだけでなく、新店、改装があれば、スーパー、ドラッグストアに陳列に行くのは当たり前のこととして誰も疑うこともしませんでした。 不参加の場合は問屋や他メーカーから指摘が入ることもありました。こんなに取引があるのに来ないのか!みたいな」

「納入側です。こんなことほぼ全てのチェーンスーパーやドラッグストアで当たり前にやらされてること。大昔からやってることだし、これも仕事としての認識になってるし、それ込みで引き継がれてるので、もはやこれが悪いことであるとか、疑問に思うことですらないくらい常態化してる」

スーパーの元店長「違法であることは100%承知しているはず」

 納入業者が手伝いをすることは昔から慣例のようだが、老舗スーパー「やまと」の元3代目社長で『こうして店は潰れた~地域土着スーパー「やまと」の教訓~』(商業界)の著者・小林久氏はこのように話す。

「昭和からの“商習慣”として、スーパーでは当たり前のように今もあります。店側は、あくまでも納入業者が自由意思で応援に来ているというスタンスですが、それが違法であることは100%承知しているはず。そのため手伝いに来た人に本部の指示で『商品券』を渡したり、食事を提供する場合もある。新規開店時などは『大入り袋』に現金を入れて渡すこともあります」

 どんな言葉で納入業者に“応援”を頼むのかというと、直接的に「今度の新規開店の手伝い、おたくは何人出してくれる?」と要請したり、「この前、ライバル店の開店日に、おたく(納入業者)からたくさん応援に行ってたよね?」と取引関係を持ち出して行動を促すパターンがあるようだ。

 納入業者としては、“応援”を断ることによって、将来の取り引きに影響が出ることを懸念してしまう。

スーパーが品出しや発注作業を「丸投げ」することも普通

「スーパー側はどうしても『売ってやってる』、納入業者は『売ってもらっている』の意識があり、目に見えないパワーバランスが存在している。それこそが『優位的地位の乱用』なのです。たとえば、納入業者(特にメーカーなど)は、スーパーの売り場で『棚料(たなりょう)』とよばれる料金を支払い、商品を独占して展開できるスペースを確保するケースがあります。そうなれば、その売り場管理はメーカーの責任と解釈し、スーパーが品出しや発注作業を『丸投げ』することも普通にあるんです」(同)

 業界に染み渡ったこうした体質を改善することは可能なのだろうか?

「以前、家電業界から『人手不足を取引先にカバーさせるのは理不尽』などの声が上がり、小売業界では一斉に『取引業者への手伝いはやめろ、さもないと公取が来るぞ!』とみんなでやめた歴史があります。最近はその意識も緩んできましたが、スーパーで廃止するには、手伝いを強要するスーパー側だけでなく、納入業者側から『無償での人的支援はできません!』と断る姿勢が必要。個人的には、スーパー側の体質は変わらないものとして、納入業者がキッパリ断る+スーパーが『取引停止や縮小』など報復をしたら処罰して公告、という流れにすると実効性があると思います」(同)

5月には沖縄のフランチャイズ契約を1年で終了

 しかし、昭和時代から当たり前に続いてきた“応援”が、ロピアに限って公取委の調査対象となったのはなぜだろうか? ネット上では、ロピアの急成長を快く思わない同業他社からのリークを推測する声も聞こえる。

「おそらく、ほかにも同様の告発が公取委に寄せられているにもかかわらず、ロピアだけに立ち入り調査が入ったことは、単なる『一罰百戒』の“みせしめ”ではなく、立ち入り調査が必要になるほどの『裏付け』があったと考えます。そのリークが、ロピア関係者なのか、お手伝いを強要された納入業者またはライバル企業なのか……。しかし、同社関係者は考えづらいでしょう」(同)

 ネット上では、ロピアについて「低価格の理由は、取引先の労働力を搾取していたからか?」など、落胆するコメントも多い。

「リークが取引先とは限りませんが、そうだとしたら、相手はかなりの理不尽さ(圧)を感じた証しであり、『取引停止』などのリスクを差し引いても世に出したかったという背景を感じます。急激な企業の成長には、このような人手不足の問題がつきまとう。ロピアがイトーヨーカドーや西友に代わり持続的に成長するためには、まず『内部統制と取引先との健全な関係の再構築』が急務かもしれません」(同)

 5月には沖縄県でフランチャイズ契約をしていた野嵩商会とわずか1年ほどで契約が終了し、沖縄撤退となったロピア。経営面がにわかに騒がしくなっているが、10年後はどんなスーパーに成長しているのだろうか。

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