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東京、埼玉、神奈川で展開するスーパー「ピーコック」。元は大丸百貨店の高級スーパーでしたが、イオンに買収されて2013年から傘下になっています。そんなピーコック下北沢店が閉店すると知り、足を運んできました。

目次

・【ピーコック】とは？　大丸百貨店からイオン傘下に
・下北沢店、55年間の営業終了……閉店セールでお宝発見！
・下北沢店、55年の歴史を感じさせる地域密着ぶり

【ピーコック】とは？　大丸百貨店からイオン傘下に

　1960年に1号店を大阪・枚方に開業した「大丸ピーコック」。大丸百貨店子会社の高級食品スーパーとしてスタートし、24年5月現在は東京、神奈川、千葉で35店舗を展開しています。

　07年に大丸が松坂屋と統合したことで、名称を「ピーコックストア」に変更。13年4月にはイオンに買収され、グループの一員となっています。

　ピーコックストアを運営するイオンマーケット株式会社の業績は、23年の「第87期決算公告」によると営業利益が赤字、売上高もマイナス。24年の「第88期決算公告」では、営業利益が黒字転換、売上高は3％増となったものの、利益剰余金はマイナス253億円で赤字が拡大。このマイナスは、一般的に業績の悪化を示すため、経営状況は厳しいようです。

　さらには、「年に数億単位で赤字」「万年赤字体質」などと真偽不明ながらネット上で指摘もあり、イオンに買収されて以降も業績の立て直しは成果が見えていないよう。

【ピーコック】下北沢店、55年間の営業に終止符……閉店セールでお宝発見！

　25年1月31日に閉店を迎えたピーコック下北沢店です。閉店の数日前の昼前に様子をうかがいに行ってきました。

　入口には「売りつくしセール」の張り紙がこれでもか！　と貼られています。その周囲を、天井から伝うガムテープが強風でピロピロと舞っていて、なんとも物悲しい光景。天井からの雨漏り防止でガムテを施しているようです。

　入口の壁には閉店のメッセージ。この下北沢店は、地下1階から4階まであるビルで、かねてより老朽化がささやかれていましたが、今回ついにビルの建て替えになったそうです（2〜4階はテナント）。

　「昭和45年の開店以来55年間の営業に終止符を打たせていただきます」との言葉、重みがありますね。

　地下1階は味噌などの調味料、お菓子、日用雑貨などが販売されていましたが、すでに閉鎖さています。ワゴン一杯に積まれているのは、10％引きのトップバリュのお菓子。

　店内はほとんどの棚が空っぽか、それに近い状態に片付いています。一方で、青果、鮮魚、精肉、惣菜売り場はほとんど通常営業で、セールの対象にはなっていない様子。あわよくば、良い肉を手頃な価格で買って帰ろうと思っていたので、ちょっと肩透かし……。

　店内奥の一角はセール品コーナーになっていて、ジャンルレスに物が置かれています。日用雑貨品はワインオープナーや電球など雑多な品揃えで、掘り出し物を探すお客さんでちょっとした賑わいです。

　そんな店内でもっとも活気があったのは、調味料のセール品コーナー。ピーコックといえば、クオリティの高い調味料の品揃えに定評があるだけに、筆者も張り切って突入です。

　しかし、というか、やはり、というべきか、魅力的な商品はもう残っておらず、とりあえず税抜き55円の「ザク切りいちご」なる謎のフリーズドライ製品を手に取ることに。

　ほかのお客さんも「なにか買いたいけど、欲しい物が見当たらない……」といった具合にワゴンの中をながめています。そんなところに、「これ、昨日『ヒルナンデス！』（日テレ系）で梅沢富美男が絶賛してたソースじゃん！」との声が！　声の主は「ヤミー!!!」という商品を手にし、「やばい、100円だよ!?　梅沢富美男が褒めてたんだよ！」と興奮モードで隣の友人に話しかけています。

　その場にいる全員が「梅沢富美男が絶賛した」のセールスフレーズに反応したのは言うまでもありません。声の主が立ち去ったあと、次々と「ヤミー!!!」に手が伸びてくるではありませんか！　もちろん、筆者も踊らされて購入です。

　後で調べてみたところ、1月27日放送の『ヒルナンデス！』で梅沢富美男が試食するロケコーナーがあり、「調味料部門ベスト3」で1位に選ばれたんだそう。

　正式名称は「万能クッキングだれ　Yummy!ガーリック＆ペッパー」、番組では368円で紹介されたので、税込み108円のさらに10％オフはお買い得！　思わぬお宝発見に、買い物欲が満たされました。

【ピーコック】下北沢店、55年の歴史で地域に密着

　閉店が迫る中での訪問となった今回。昨年夏に訪れたときよりも客足はあり、閉店特需もあるのか賑っていました。55年も営業を続けてきたとあり、利用者の中には大変さみしい思いを抱えている方もいるでしょう。

　同店の目と鼻の先にはファンも多いスーパー「オオゼキ」がありますが、元百貨店系列だったピーコックのブランド感を信頼する年配者も多かっただろうと思われます。入口に高齢者の方が持ち歩くショッピングカートの置き場があったり、詐欺に警戒するよう呼びかける掲示物や、認知症や介護者による交流会のチラシが貼られているところなど、地域に密着していたことを感じさせます。

　ピーコックは残り35店。今後の動向も注目です！